ごぼう収穫中断の事情
- 反田孝之
- 7月3日
- 読了時間: 2分
更新日:4 日前
ごぼうの収穫が始まっている。例年なら「洪水の前に掘り上げる」をスローガンに連日掘り進めているところだが、今年は飛び飛びのスローベースでまだ3日しかやっていない。あまりにも洪水になる気配がないし、2枚目の次の畑のごぼうがまだ細いのだ。
私が世界遺産と呼ぶ畑。自然栽培を始めてからの収量が典型的なV字回復を果たし、これだけなら洪水による土の堆積の疑いがかけられても仕方がない中、ここはこの半世紀でまったく土が増えていない畑なのだ。
当然今年もさらに期待していたところ、播種時期の種の不達騒動(自家採り種をシードテープに加工してもらう)で播種が半月遅れた。晩秋の半月遅れは致命傷。その後の生育は極めて思わしくなく、そこからの回復はとても期待できなかった。
それがどうだ。このひと月ほどで葉が見違えるように茂りだし、しかもこの猛暑の中で元気である。まだまだ地下部が太るサインである。もっと置いておきたい。
しかしそうもいかない人間の事情がいろいろある。洪水だって来ないと決まったわけではない。だからうちの経営に不利な上に、細くて総量が減ってお客さんをがっかりさせることを承知で、来週には次の畑を全部掘ることにした。
それで収穫前作業として葉を粉砕するために夕方畑へ行った。そしてその場で、夕日を浴びてまだまだ元気に葉を展開しようとする姿を見て感極まった。やっぱり今日は切れない。明日からにしよう。1日でも長く太って欲しい。
(まさかの生長)

さらには、この写真の右から4割近くは堤防で潰れる計画で、その箇所はこのたびが最後の栽培になる。これまでの20年余りの軌跡にも思いが至り、葉が切れなかったのには別の感情も交錯する。
しかし明日には必ず切ってくる覚悟である。そして自家採種は、堤防に潰される箇所の葉を一部残して、そこからしよう。長い歴史をもつ土の無念を繋いでいきたい。近年継続に苦戦する母本栽培を頑張って、できる限り大事に繋いでいきたい。
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