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執筆者の写真反田孝之

ともかくまずは種を繋ぐこと

先週末は当地有志による映画祭のイベント。私も一応は頭数のはずなのだが、いつものごとくまったく関与できず。皆さんには頭が下がる。


このたびのテーマは「種」。種というのは大変難しいテーマだ。私ら農家や家庭菜園家ですら無頓着な人が多いのに、種を蒔く機会のない人たちにとってはあまりに哲学的な素材である。さらにアメリカなどと違って、種の事情が目に見えて社会問題化していないという背景がある。


うちが小5を対象にやっている大豆栽培の体験授業は、種まきから味噌にして食べるまでの工程よりも、種を次学年に繋ぐという意義の方が大事なのだという私の考えを以前書いた。ただ種を採って、次の年や次の人へ繋ぐ。品種などどうでもいいし、それが在来種であるとか、地域固有種であるとか、そんなこともどうでもいい。ただその行為自体を繰り返し、その行為自体を当たり前にする。その上に立ってはじめて、種への理解が腹に落ちるし、腹に落ちた理解が次の行動に繋がっていく。


ということを関係者にはもちろん取材でも必ず話すのだが、どうもさらりとかわされている感じだ。相当手ごわいと思わずにはいられない。


うちで育てる作物は、ゴボウも米も大豆もすべてこの辺りで一般的な品種ばかりだ。この理由の一つが今書いたことである。品種を選ぶことよりも、自家採種をすることが自体が大切だと、直感で感じ、暗に主張したいという思いがある。


思い定めたら、「まずは10年」と自らにいい聞かせる癖がすっかりついた。ジッと10年やり続ければ、何かが動き、まずは糸口が見えるという意味合いだ。給食米プロジェクトではメンバーにもそう呼びかけている。当たり前のことだが、10年経ったあとは次の10年を見定める。種を繋ぐことの啓発も、私の中ではまだ始まったばかりである。

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