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大豆の体験授業の最大の意義

執筆者の写真: 反田孝之反田孝之

先日、今年の小5大豆体験授業の全工程を、味噌の仕込みで終えた。


(最終回は女房主導で)


種蒔きして、育てて、収穫して、調整して、味噌にする。さらに給食で食べる。ノスタルジーではなく現代農業の片りんにも触れるべく、播種機、乗用除草機、汎用コンバインなどの披露や運転をして見せることも忘れない。とても有意義な取り組みだと多くの人から評価をいただいている。


しかしながら言い出しっぺの私に言わせれば、この体験授業の肝は、残念ながらほぼすべての人が意図していない「次学年に種を繋ぐ」ということにある。


多くの作物は、それがたとえ人間の手によって生かされてきたといっても、原理的には「子孫を残すために」生きてきた。それを人間が、生きるためという都合で食べてしまう。しかしその一方で、あくまで来年の食い扶持を稼ぐという目的ではあっても、種を採りその子孫(種)を残すという行為が、遠い過去からつい最近まで延々と繰り返されてきた。こういう地味で自然な命のリレーは、古の人間の死生観や自然観を形作ることの助けになっていたのではないだろうか。もし現代人のこういう価値観が劣化しているとすれば、わずかながらにでも子供の頃からその一端を意識する機会を設けるということは、極めて意義のあることだと思うのだ。


昨年はトラブルで種を繋ぐことができなかったが、今年はしっかり残すことができた。これを今の4年生に繋ぐのである。そして当然のことながらこの取り組みには前提があって、小学校がこの体験授業を続けてくれないとならない。


よく見知った子らが相変わらず今田の畑で自分の繋いだ種を蒔く姿を見て、中学に入り高校に上がり、さらに大人になった彼ら彼女らには、命を繋ぐことの何たるかを感じてもらいたい。そしてこの取り組みが20年、30年と続き、この地で結婚して子供ができ、その子らがこの種を蒔くとき、どんな感慨をも通り越して、もっと大きな価値観に触れていくであろうけれども。

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