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  • 執筆者の写真反田孝之

被害の全体像が見えてきた

洪水による農作物被害見込みというのは日々変わっていく。当初ダメだと思ったものが意外と復活してきたり、大丈夫と思ったものが実はダメだったりするからだ。工業製品などと違い、畑も土も作物もみんな生き物なんだから、当たり前のことではある。


このたびは当初覚悟したほどの被害にならなさそうだ。


収穫中の秋蒔きゴボウはすでに3分の1を収穫済みだったわけだが、収穫不能になりそうなのは当時収穫中だった圃場の畝長200mだけだ。もう1枚の圃場(畝長2940m)では流入した土砂がほとんどない上に、水はけが極めて良い畑だったため、ゴボウは何食わぬ顔で生きづいている。


ゴボウは水に浸かると死ぬと思っている人もいるけれど、水に浸かったら死ぬのではなくて酸欠になったら死ぬのだ。水はけがよくて常に水が動いていれば酸欠にはならない。だから我々も何事もなかったかのように現在収穫を進めている。


大豆もここにきて意外と起き上がってきている。



大豆はもともと水に強いので、起き上がってさえくれれば育つものだ。あとの懸念は草。起き上がるといっても地際からでなくて途中からだから、土寄せや除草作業ができずに草に覆われる可能性がある。だから洪水前に最後の土寄せの段階までやっておけば、倒れにくい上に草の問題がなくなる。この度はそこまでできていたのは1.7㏊のうち、わずか0.3㏊だった。だから大豆はまだまだ判断できない。


被害の状況がさっぱり読めないのは春蒔きゴボウだ。


今のところほぼ全滅と読んでいる。ゴボウは生育初期には冠水被害に遭ってもかなり平気。しかしこの度は4月下旬発芽もので「初期」ではない上に、圃場は一か所のみでここは水はけがそれほどではないのだ。土砂の流入は少なく地上部は見た目に復活してきているけれど、過去の経験からきっとダメだろうと。ちなみに2006年も同じ圃場、同じ生育ステージ、同じ時期に洪水を受けた。この時は掘ってみるとほぼ全部で商品価値がなかった。違いは14年が経過し、かつて撒きまくった有機肥料(毒)がいくらかは減っただろうということ。そこで何らかの違いが出ないかなあと、ちょっぴり期待をしている。


経営について1つ触れておきたい。


このたびは昨年からできた「収入保険」のおかげで不安が少ない。これは例年の8~9割の売り上げを保証してくれるもの。この度のように機械や設備の被害さえなければ、経営継続は難しいものではなくなった。心配された方には「なあんだ、そんなのがあるんだ、同情して損したよ。」と思っていただきたい。ただこの国の農業の歴史は農政に振り回されてきたそれだ。このありがたい制度がいつまで続くのかという不安はある。あくまでこれに頼らない経営を作っていくことが必要だ。




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