土木の頃(1)
- 反田孝之
- 5月3日
- 読了時間: 2分
更新日:5月8日
私の職歴の主なものを上げれば、25~27歳の土木業、29~33歳の塾講師、そして34歳からの今の農業である。農業は当たり前として、その前の2つも常に全力で取り組んできたし、今の自分を形作ったかけがえのない体験だったと思っている。全力でやればなんだって苦労や辛いことが多くなるもの。中でも土木業の辛さと言ったらなかった。
何が辛かったといえば、もうそれは一つや二つを挙げることができない。仕事自体も人間関係も、ありとあらゆることが辛かった。
人間関係は、私は会社の跡取りという立場で面食らうこととなった。これは思いもよらなかったことで、例えばド田舎の土木会社だから従事者や関係者は、今でこそそんなことはないだろうが、まだ30年前はどうかというと「荒くれ者」。従業員は見かけのヤサな私を「なめる」。同業者も元受けも下請けもなめる。なめられていては仕事にならないのであの手この手で頑張った。「大学まで出ておいてなぜこんな人たちの中で揉まれなければならないのか」と悔やまなかったと言えば噓になるが、「大学まで出たんだからどんな状況だって切り抜けてやろう、これは自分を高めるための試練なのだ」と常に自分に言い聞かせて頑張った。私に向かって「こいつの頭を今のうちに押さえつけておこう」などと平気で言い放つ輩が次から次に現れては、地道に一人ずつ潰して(好かれて)いった。おかげで対人関係で動じることはなくなったし、荒くれ者に好かれることやクレーマーに強いという自分の意外な素養を知ることになった。
そのつもりはなかったが、気分が乗ってきた。これからしばらく土木の頃の思い出を書いてみたい(気が変わらなければ)。
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