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  • 執筆者の写真反田孝之

最後の春まきゴボウ

今日、収穫作業、最終日。わずか2人で。


これが春まきゴボウの最後の日となる。いつかはやめる時が来るのだろうかと思いながらここまで17年粘り続けてきた。


秋まき型は続けるわけで、ゴボウをやめるわけではない。でも私にとって、人生の壮年期をささげたと言ってもいい物事の一つ。一際感慨深いのである。


うちのゴボウ経営がようやく曲りなりにも形になった2008年に、それを支えてくれたのがある圃場のこの春まきの作型だった。春まき型で最高に調子が良かったのは結果的にはこの1年のこの圃場ぽっきりになったけれど、販路の安定に見事に貢献してくれて、ゴボウ経営を不動のものにしてくれたと言ってもいい。しかし一方で私はこの成功体験の残影を引きずった。それでここまで粘ってしまったのだ。この体験がなかったなら、間違いなく春まき型はもっと早くに諦めていたことがたやすく想像できる。


(2008年、55圃場の春まき型)


もう一つ、春まき型をやめることは、圃場を返すということでもある。田津地区ではもう秋まきゴボウ以外のもの、つまり春まきゴボウ、大豆はもうやめるつもりでいる。洪水期を避け得るものの栽培を始めるなら可能性は残るが、始めたとしても他の地区でもいいかもしれないし、田津でやる可能性は結局低い。


借地ではある。しかし誰よりも思い入れがあると思っている。圃場の一つ一つで繰り広げられた記憶、ドラマというものが、確かにあるのだ。


これまでだって畑は返してきた。そのすべてに愛着があったことは確かではあるが、このたび一斉に耕作をやめる圃場たちはそれなりにうちの経営を、私ら家族を支えてきてくれた圃場たちだ。記憶は当然濃いのである。


今日収穫を終え、しばし感傷に浸る。


そして現在大豆を育てている圃場も、12月には同じことを繰り返すことになる。辛い選択が続く。

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