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  • 執筆者の写真反田孝之

色選掛け判断の分岐点

世の中の作業には、比較的誰にでもできる単純作業と、熟練しないとできない高度な作業がある。農作業とて同じ。


うちでは小人数でそれなりの面積をこなす必要性から、高度な作業が多くなっている。というか、単純作業がほとんどない。今やっている色選掛けもこちらに入る。


色選掛けというのは奥が深い。それはうちが持っているような低いスペックの機械についての話で、もっと高価で性能のよい機械には当てはまらないのかもしれないが、うちの大豆の色選掛けの事情を少し紹介してみる。


色選とは汚れた粒(不良品)を弾いてくれる機械だ。能率を上げると精度が落ち、精度を上げると能率が落ちる。精度が落ちるとは、「良品に不良品が混じる」のと「不良品に良品が混じる」ということである。


個人のお客さんに売るロットはともかく、味噌の原料になるロットに色選がなぜ必要かと言うと、見た目のきれいさ(等級)によって補助金がもらえるからだ。30キロ1袋当たり、1等:5415円、2等:5070円、3等:4730円、合格:4390円。これ以外、つまり「規格外」の場合は0円。だから例えば300袋生産したとすると150万円もの額になる。私は補助金で経営の根幹を振り回されることは絶対にないと断言するけれど、同じことをやって貰えるものなら当然もらう。


色選に掛ける前に明らかに「規格外」のものは、どの能率と精度だろうと色選をかけた方が得になる。0円か4390円の差だからだ。しかしすでに「合格」以上のものは微妙になる。色選に掛けて等級を上げたとしても、弾いた不良品分だけ総量が減ってしまうからだ。


(不良品口から出る粒。良品もそれなりに混じっている。粒が楕円に近いほど精度が落ちる。)


で、分岐点を計算してみると、13:1。色選に掛けて等級を1つ上げるとして、良品13に対し不良品が1以上発生するなら掛けない方がいいということになる。もちろんこれは単純に補助金がどちらが多くなるかという話であって、不良品に値がつくかどうかを考慮しなければ意味がない。不良品が「くず」になるのなら、合格以上にはほぼ掛けない方がいい。うちの場合、取引先さんが不良品も同じ値段で買ってくれるから単純に補助金だけを考えられるのだ。


もちろん色選掛けの経費や手間(雇用するなら人件費)は考慮していない。実際はこれらをトータルで考えて、掛けるべきか掛けないべきか、そして掛けるならどの程度でやるかを考えて調整することになる。


そして実は、色選の精度は気温や運転時間、大豆の形状などの条件でもコロコロ変わる。あまりまじめに考えるとすっかりカオス。以上の理屈を知った上で妥協してやるしかない。


ついでに言うなら、個人のお客さん向けの大豆については以上の考え方は当てはまらない。ほぼ、掛ける。本当は無駄なエネルギーを使わない、という視点からも同じようにやるべきなんだろうけどね、ついつい掛けちゃうわけよ。ここが課題だな。いつか振り切ってみてもいいんだけどね。

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